研究誌『松本清張研究』第24号

今回の特集テーマは「今読む「昭和史発掘」」です。「昭和史発掘」は1964(昭和39)年から足掛け8年にわたり連載された歴史ノンフィクションの代表作であり、日本が日中戦争に至るまでの道程を見つめた大作です。
2022年2月、ロシアによるウクライナ侵攻が始まりました。国際世論に背を向けた武力行使、国内の情報統制強化などに、戦前・戦中の日本を想起した方も多いのではないでしょうか。いま、わたしたちは〈戦争の世紀〉への逆戻りに立ち会っているのではないでしょうか。「昭和史発掘」を読み直すことでそのヒントを得、歴史に学ぶことができればと考えテーマとして取り上げることにいたしました。
今後も、時代と社会、人間を鋭く問う清張作品の可能性を見つめ、その探求精神を継承していきたいと思います。
(2023年3月31日発行)

特集 今読む「昭和史発掘」

対談 
・今読む『昭和史発掘』/保阪正康・加藤陽子

論文
・『昭和史発掘』の中の文学者たち/綾目広治

・元老西園寺公望の別荘坐漁荘における「お花騒動」に関する一考察
  ――松本清張『昭和史発掘』『老公』の成果の継承と発展――/奈良岡聰智

関連企画
 小説に描かれる二・二六事件

・エッセイ
 恩田陸・山田正紀・北村薫・奥泉光

・ブックガイド
 編集部

エッセイ
・不届き者、時代の「飛び石」を論じる/坂上泉

再録 松本清張
・『二・二六事件=研究資料』Ⅰ編者あとがき
・『二・二六事件』第一巻まえがき
・松本清張の実像/藤井康栄

誌上再録 研究発表
・松本清張:メディア・アダプテーション・ミドルブラウ文学/十重田裕一


寄稿
・松本清張「或る『小倉日記』伝」と『両像・森鷗外』、そして森鷗外の知られざる台湾体験/呉佩珍

記念館研究ノート
・林熊生こと金関丈夫と松本清張/栁原暁子

『松本清張研究』第24号
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