国立台湾文学館・北九州市立松本清張記念館 連携展示
遺された指紋――松本清張と台湾ミステリー小説
「台湾文学」というアイデンティティを獲得するまで、多くの苦難を乗り越えてきた台湾は、その過程において日本の文学を受容しました。その影響関係や、清張作品の受容、そこから進化を遂げた現在の台湾ミステリー、日本ミステリーの状況についてご紹介します。
会場
松本清張記念館
開催期間
松本清張記念館 2022年7月29日(金)~10月23日(日)
入場料
松本清張記念館 : 常設観覧料に含む[一般600円(480円)・中高生360円(280円)・小学生240円(190円) ( )内は団体料金]
開催趣旨
近年、華文ミステリーが話題となっています。中でも新しい台湾作家の活躍は、日本をはじめ海外からも注目され始めています。
台湾で読まれるミステリー作品の中には、日本の小説も多く含まれています。日本で人気の小説は、いち早く台湾の書店にも並び、多くの読者が新作を心待ちにしています。このような日本ミステリー人気のきっかけのひとつが、80年代の松本清張ブームでした。
「台湾文学」というアイデンティティを獲得するまで、多くの苦難を乗り越えてきた台湾は、その過程において日本の文学を受容しました。その影響関係や、清張作品の受容、そこから進化を遂げた現在の台湾ミステリー、日本ミステリーの状況についてご紹介します。
構 成
1.目撃証人の告白
日本とも関わりの深い台湾文学の歴史を知っていますか?――あなたは今「台湾文学」の目撃者となるのです。
2.現場の如何なる痕跡も見逃さない
メイド・イン・台湾の推理小説がどのようにして生まれたか――時代を遡って現場を追跡せよ!
3.断崖の向こうから来た推理(ミステリー)
海を渡って台湾で起こった清張ブーム。台湾ミステリーにも大きな影響を与えたのをご存知ですか?
4.終わりなき探究
最期まで「真実探究」の歩みを止めなかった作家・松本清張の、生い立ちから創作活動までご覧にいれましょう。
5.遺された指紋は誰のもの?
現在、台湾と日本のミステリー界は多彩で豊かな作品に溢れています。誰が何故、何のために?――答えは本展で。
6.ミステリーに隠された真相
国立台湾文学館(台南市)・北九州市立松本清張記念館の知られざる活動をご紹介します。


新型コロナ対策にご協力ください
三密対策のため入場制限等行う場合があります。
急な閉館に伴う開催の中断、中止の場合があります。
関連イベントのご案内
◆「遺された指紋-松本清張と台湾ミステリー小説」 in 台湾文化センター
【会場】
台北駐日経済文化代表処台湾文化センター
(東京都港区虎ノ門1丁目1−12 虎ノ門ビル2階)
【期間】
2022年7月29日(金)~8月19日(金)
◆映画上映 特別企画展記念上映
“葬られた戦後史が甦る清張作品と台湾ミステリー“
【会場】
小倉昭和館(北九州市小倉北区魚町4丁目2−9)
【期間】
2022年9月 予定
コラボ企画
- 辻利茶舗によるオリジナル煎茶の限定販売
- SEICHO café(松本清張記念館 地階)での台湾スイーツや台湾茶の限定メニュー
- 出張お茶セミナー など
【松本清張と辻利茶舗】
北九州市・小倉の辻利茶舗は、江戸時代萬延元年(西暦1860年)に創業した辻利の京都・本店より、大正期(1923年)に九州最大の商都「小倉」の地へ支店長として赴任、九州のお客様に宇治茶の販売を始めました。
同じころ、松本清張も小倉の街で少年期を過ごしていました。
やがて作家となるチャンスを掴み、上京を決意した清張が、東京行きの列車を途中下車して取材したのが京都・宇治でした。「運不運 わが小説」には〈小倉にある辻利商店の紹介状を持って茶の卸商辻利兵衛商店に行きました。〉とあります。このときの着想は、のちに「蓆」(むしろ)という小説に結実しています。
【台湾と辻利茶舗】
日本統治時代の明治32年、三代目である三好徳三郎※が台湾へ渡り、台北に「辻利茶舗」を開店しました。宇治茶や烏龍茶を扱い、台北で多くの方に親しまれました。現在では小倉・辻利茶舗が台湾でカフェを展開し、日本のお茶で台湾の人々の心を掴んでいます。このように、辻利と台湾との関係は深く、小倉でも本場レシピで作る台湾カステラの販売や、人的交流などが続いています。
※終戦後、台湾から京都・祇園へ移り祇園辻利を開店